Loading

第2話 「相馬野馬追」(2013年7月)

●大河ドラマには合戦モノが多く、その折には騎馬武者が多く登場をします。

 やれ軍人さんが、戦国武将が騎乗をする訳ですが、その馬たちは一体どこからやってくるのでしょうか。 (^−^)

 ハリウッドには「劇用馬」として、それ専門に馬を育成するシステムがありますが、日本にはありませんでした。
 なのでやむをえず、乗馬クラブなどから「撮影に使えそうな馬」を借りてきていました。

 ・・・なのですが、馬は生き物です。
 普段は大人しい馬でも、撮影現場に連れて来られ、いつもとは全く違った環境なので・・・それはビックリしたり、興奮をしたり不安がったりで、まずは馬を落ち着かせるのに時間ばかりが掛ってしまい、全然撮影がはかどりません。(^_^;)
 馬の気持ちになってみれば、さもありなん☆

●平素は、午たちは乗馬クラブで暮らしています。

 なので、乗馬客の安全の為にも急発進・急停車はご法度なのですが★
 撮影現場では、それを力づくで強制されます。
 それも慣れた人が必ず傍にいるとはいえ、自分に乗っているのは見知らぬ人で、牧場にはない背旗はパタパタ、しかも騎乗者が刀は振り回すわ、弓は射るわと大活躍です。

図体はでかくても、心は繊細です。

 ただでさえ周囲には見知らぬ人が一杯いるし、しかも見たことのない仲間まで一杯います。
 見た事もない機械はあるしで、
「一体、何が起こったのっ!?」
 ・・・と、叫んでも。
 馬に人間が説明をしてくれる訳はなし、ましてや仲間(馬)だって、理解できる筈もありません。
 一頭が落ち着かなくなれば、他のもそれに習うので大変な騒ぎになるんです。(^_^;)

●そこで「日本にも劇用馬を作ろう!」という流れになりました。

 今は日本に一ヶ所だけ「劇用馬を育てる牧場」があります。(※2020年、こちらは閉鎖となりました)
 NHK大河ドラマ「八重の桜」にも出てきますが、会津の藩校として使われていた日新館の傍らに設立した「会津武士道」という乗馬チームです。
 ただ撮影で使用するには、会津の地はいかにも遠かったので昨今、日新館の馬の設備はそのままに、乗馬クラブを神奈川県は服部牧場の一角に移しました。
 そこ(JRC)と提携をして、山野亜紀が代表を務めるオフィス・リバティでは毎月、廉価で早く乗馬技術を習得できる乗馬教室定期開催しています。(※2018年、馬場の持ち主が変ったため、終了となりました)
 さて、そこの馬たちが、2013年7月の「相馬野馬追」のお祭りに出演することとなりました。

●今でこそ乗馬クラブは全国各地にありますが、大河ドラマが始った当初はまだ数も少なく、馬の調達だけでも大変だったと林邦史朗先生は言います。

 馬の頭数を揃える為に、乗馬クラブはもちろん、個人所有の馬までも声を掛けます。

 当時から、こういったお祭りの為だけに飼っているという馬もいて、その馬主さんがなんと(!)
 騎馬武者のエキストラとしても、活躍をしていたそうです。

 馬主さんからしたら、自分が持っている馬が自慢です。
 やれ血統が良いの、どこぞの競馬で賞をとったのと、とにかく馬が自慢(!)なんです。
 ・・・ですが撮影で求められるのは、騎馬武者が整然と隊列を組んで行進している絵のハズなのに、馬主さん達にはそんな事は関わりありません★
 「よーい、スタート」の声が掛った途端、「おらが馬が早いぞ〜」「いやいや、おらの馬の方が早えぞ」で大騒ぎ。
 全く撮影にならず、スタッフ全員で大弱りです。(^_^;)

 ・・・困り果てた林先生が、仕方がないので撮影の始る前に一升瓶を二本下げて馬主さんに会いに行き、一杯やりながらそれぞれ説得したら、今度は林先生の言う事ばかり聞いて、スタッフさんのいう事を聞かなかったなんて笑い話もあります。

●酷いのは、・・・今ではそんな事はありませんが。

 馬主さんから馬を借りるのはもちろん、衣装として先祖伝来の鎧があれば、それを着て馬に乗って参加してもらった・・・なんて事も、当時はあったそうです。

 「天と地と(1969年放映)」の時でしたか。
 ・・・とはいえ、先祖伝来の鎧ではありますが、時代考証を兼ね備えるスタッフを抱えるNHKさんです。
 総員、当時の鎧装備を備える訳ですが。
 個人所有の場合は、・・・それはあっちが欠けていたり、これが無かったりという事もあったそうです。

 鎧の持ち主は足りない部分を小道具さんから借りるのですが、与えられてみて初めて、
「へぇ〜、おらが家伝来の鎧には、ホントはこんなのが備わっていたのか・・・」と、驚くことしきり。
 ・・・驚くだけなら良いのですが。😅
 撮影が終ると、みんなそのままフル装備で帰ってしまい、小道具さんが調べると「あら、これが足りない」「こちらは何処へ?」といった大騒ぎ。
 取り返したくてももはや、誰が何を持ち帰ったのか判らず、泣き寝入りをしたなんて話もあったそうです。

  「311地震」があっても続く、相馬野馬追。
 今年も、盛況であって欲しいと願います。
 (文責・山野亜紀 2013.7.1)


  〇2013年7月のお膳

☆「うなぎと日本人」~文月の旬(2013年7月)

〇ナスの浅漬け

関連記事

  1. 第9話 「イワシは、お好き?」(2014年2月)

    2014.02.01
  2. 第54話 真剣と、真剣に向き合った日(2017年10月)

    2017.10.31
  3. 第38話 静岡藩って、あったのね。(2016年7月)

    2016.07.01
  4. 第7話 「殺陣・武術指導として、生きる」(2013年12月)

    2013.12.01
  5. 第22話「4年前のお引っ越し☆」(2015年3月)

    2015.03.01
  6. 第42話 師匠の、林邦史朗という方は。(2016年11月)

    2016.11.01
PAGE TOP