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☆「うなぎと日本人」~文月の旬(2013年7月)

●ウナギは、なんと(!)

 縄文遺跡からの出土例もあるくらいに「日本人には馴染み深い食べ物」で、奈良時代の万葉集にもその名が登場しますが、当時の食べ方は定かではないと言われているそうです。
 ・・・その頃からすでに、「夏負けに対抗する食べ物」として定着していたよう。👀
 大友家持(おおとものやかもち)の歌にも、
「石麻呂(いはまろ)に われ物申す 夏やせに よしという物ぞ 鰻(むなぎ)とり食(め)せ」
とあり、当時は「(う)なぎ」でなく「(む)なぎ」と呼ばれていたようです。

 また一節には、当時は「すし」として食べられていたのではないかとあります。 (゜-゜)

 さてウナギは、産卵のために海に帰り、成魚になると川の中流から下流、河口や湖や内湾に生息します。
 夜行性で、えらの他に皮膚呼吸もできるので、体と周辺が濡れていれば陸上でも生きられるのだとか★
 ・・・雨の日には生息域を抜けて、他の離れた水場へ移動したり、濡れていれば切り立った絶壁でも体をくねらせて這い登るため、「うなぎのぼり」という言葉の語源にもなっているそう。👀

●・・・こんなに生命力が強いハズなのに、現在では絶滅危惧種に。 (^_^;)

 なんでも、1973年に北海道大学で人工孵化に成功したものの、ウナギは何しろ深海(!)で誕生するために、深海の環境を作るのが大変なのか・・・???
 そのまず、孵化させるだけでまずは、莫大なお金が掛り。
 なおかつ、孵化した後の稚魚を育成するのにまた、莫大な費用が掛るとか。😢


 ついでに孵化したウナギさんはオスばかりで、何故かメスがいません。😅

 これが天然だと、割合としてはメスが多くて、身体もメスの方が体が大きくて、オスは小振りなようです。
 ・・・人口で孵化は出来ても、オスばかりでは次世代が続かない処が、むずかしい。(^_^;)
 さて江戸時代の頃はウナギの生態は一体、どうだったのでしょうか。

●徳川家康が江戸城に入ったのが、天正18(1590)年。

 江戸はまだ東京湾に面した寒村で、入江や湿地帯が多くて武蔵野台地の東端にありました。
 当時はまだ何もなくても、耕せば「武蔵野台地は広大な農地」に。
 江戸前の内海は、巨大な魚介類の住まう場所です。

 初期の江戸は、風が吹くと土埃が舞い上がって枯れ草が転がっていくという、まるで西部劇のガンマンが出てきそうなお土地柄でした。💦

 大道寺友山の「落穂集」には、武家・町家を問わず、下々の食べ物として犬より上等のものはなく(!)
 ・・・冬ともなれば、見つけ次第に打ち殺して食べてしまうとあります・・・。
 いまの動物愛護、愛犬家には飛び蹴りを食らわせられそうな環境ですよね。 (^_^;)

●元禄(1688〜1704)の頃まで、四谷には、漁師の市が立って獣肉が売られていたといいます。👀

 ・・・ところが、こんな場所にまずは、参勤交代で諸国の大名が乗りこんで来て。
 乗り込んで来るからには、その皆々様の住まう場所が必要になりますよね。💦

 ことほど、かような訳で、その大名屋敷から城から町屋からの、とにかく巨大な規模の建築ラッシュが始りました。
 建設に携わる職人や人足が全国から集い、元禄の頃には小聚落だったハズの江戸が、武家50万に町人が50万の計、100万の巨大都市になりました。(^_^)/

 こういった人たちが大勢生活をするようになれば、家庭ゴミももちろん、多く出てきますよね。
 江戸究極のリサイクル文化とありますが、こういった生活排水は、隅田川や割下水の運河や堀川に流します。(・・・というか、捨てます☆)
 日々食べた飯粒や味噌汁、煮物などの「流し汁」を、こういった掘や川に捨てていきます。
 ・・・これが川から海に流れ、生き物たちの栄養となります。
 川ではウナギを育て、海では小魚類を育てていく事になったのだそうです。👀

●「江戸前」といえば、こういった食材を使った鮨や天ぷら、鰻に丼物など数多く名前が上がるようですが、ホントの江戸っ子自慢の江戸前料理は「鰻」でした。

 浅草川や深川辺りでとれた鰻は、特別に脂がのっていて上味だったとあります💛
 ・・・特に深川の鰻は、ちょっと上流の方に米蔵が立ち並ぶ「蔵前」があり、そこから零れる米を戴くことで、その身にコクを加えたともいいます。

 そして実は、ホントの鰻の旬秋から冬にかけてなんだそうですが、「土用の丑の日」といえば鰻なので、今回は特別に「今月の旬」に選んでみました。

●ウナギの旬は、冬。

 ・・・冬眠に備えて、養分をその身に蓄えるからだそうですが、古(いにしえ)の奈良時代から日本人に元気を与える食材です。
 いつまでも、そうあって欲しいと願いますが、どうでしょうか。

 そして・・・。
「和心きらり」では、「1人暮らしや2人暮らしの方が、ヘルシーライフを送れるレシピ」が売りなのに★
 今回は鰻なだけに(モノによっては、そうではないレシピもありますが)やっぱり、ハイカロリー・・・。 (^_^;)
 次回からはまた、ヘルシーライフに戻りますので、よろしくお願いします。
 (文責・山野亜紀 2013.7.1)

 〇2013年7月のお膳

〇鰻そうめん

第2話 「相馬野馬追」(2013年7月)

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