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☆「春はセリっ、身欠きニシンで、日本人」~如月の旬エッセイ(2018年)

●2月の旬食材は、お江戸の頃に立ち返りっ!

 長らく人々に愛されて来た、「身欠きニシン」さんを取り上げてみたんですが・・・ニシンさんといえばっ!
 ・・・かのウヰスキーブームを巻き起こした、NHK連続テレビ小説「マッサン(2014年9月~2015年3月放送)」に、けっこうに関係がありました♡

 北海道の地で、マッサン夫婦が暮らす日々のお話だったんですが、地元の漁師で網元の森野熊虎(風間杜夫・演)が、マッサン夫婦によく絡んでましたよね。 👀
 彼が申す事には、
「あれほどに良く獲れていたニシンが、今では不漁になって、おかげで今では多額の借金を抱え・・・云々」なる下りがありました。 (゜_゜ )

ニシンさんは「日本の食の歴史」においては、けっこうに浮き沈みが激しく活躍をされて来た・・・お方なんですよね★

 ニシンを漢字で書いてみますと、鰊、鯡、青魚、春告魚・・・などなど。
 「魚に非(あら)ず」なんて当て字をされているのが、また珍しい処なんですが★
 ・・・何でも、お江戸の当時の松前藩では(!)

 まぁ、あの当時ではまだ「蝦夷地と呼ばれて」いましたし、今とは違って「お米の収穫」なんかは、ほとんど見込めない土地柄でもあったので、
 (米の代替品として、ニシンさんで!)年貢を治めて時代があった事から・・・魚に非ず!の文字が当てられたのだと、資料にあります。 (‘_’)

●さてニシンさんは、ニシン目ニシン科の海水魚。

 その産卵期はいつかといえば、北海道では3月の・・・下旬から6月の下旬にかけてなんだそう。
 ・・・ちなみに、ニシンさんの卵はといえば(!)
 お正月に、大々的にスーパーで売られている・・・数の子さんですよね♡ (〃∇〃)

 よくスーパーでも見掛けますから・・・皆さまもご存知かとは思われますが、産卵された卵は沈性で、さらに粘着性があります(!)
 その・・・卵さんたちが固まり状で、海藻なんかに産み付けられた形で、時期を待ちます☆
 ・・・ちなみに、この時点で獲られてしまって、市販をされているのが「子持ち昆布」なんだそうで・・・意外や意外っ。
 ニシンさんのお子さんって、けっこうに色んな形で・・・流通をされているんですねぇ、へ~え。 (-_-;)

●また、この卵さん達が孵化をしますとまず、半年で10センチほどの大きさに。

 これが1年経つと15センチ、そして3年経てば25センチにまで成長!
 5年で30センチ、7年では32センチという具合に・・・お育ちになられるのだとか★

 ところで、ニシンさんってもともと・・・漁獲量の浮き沈みの激しいお魚なんだそう(!)
 特に「明治の頃から昭和の初めにかけては、浜が白子(ニシンさんの精子・・・つまり彼らは、産卵の為にこの地にまで訪れていたんですね★)で、海が真っ白に見えるほどに豊漁であった!」・・・と、資料にあります。 👀
 それが戦後数年経った時点で、今度は海流が変ってしまったのか、ニシンさんの数は激減してしまったのだとも・・・資料に。 (´_`。)

 何しろ、豊漁の折には・・・ニシンさん★
 余りにも獲れすぎていたので、数尺に積み上げた魚の上を人が往来するほどに・・・ある意味、ずさんな仕打ちを受けていたお方であったのだとも、また資料に★ (^▽^;)

●またニシンさんっていうのは、とにもかくにも、脂がとっても強い(!)お方なんだそう★

 なので当時は、とーーーっても日持ちが難しいお方だったんですね。 (´_`。)
 お江戸の頃では、まずはともかくも、「傷みやすい頭や内臓を取って」しまってからの・・・干物にするやら、鰊粕にしてやらの販売に。 👀

 これが明治維新を迎えた頃になりますと、今度は製造方法も変ってきたのか、まずは数日!
 ニシンさんを、板倉に収蔵しておきます。
 こうしておくと、何しろ脂っぽいニシンが何とか、加工がし易くなるからみたいで、それからナイフなんかで捌いていきます。

 数の子と白子を抜いて2、3匹ずつを藁で括って、また更に2日ほど干していきます。
 ・・・ここまでして、ようやくに・・・その身も捌きやすくなるそうで(!)
 まずは2枚におろして、またさらに2週間ほども乾燥をさせて、ようやくに出来上がったのが・・・市場で流通している乾物の「身欠きニシン」さんなんですね。 😅💦

●はてさて、私が子供の当時に、父や祖母の田舎から送られて来ていた「身欠きニシンさん」。

 きっと、こういう工程で作られていたモノであったかと思うのですが★
 ・・・それが今では、「ソフトタイプ・身欠きニシン」というのが、市場では主流なようですね。 ( ̄_ ̄ i)

 こちらは、ニシンを機械干しにしまして。
 下乾きをしたので、扱い易くなった処を3枚に下ろして、さらにまた機械で・・・1週間程度も乾燥!
 ・・・ここまでしてから、ようやくに「頭を落とし」て、また1ヶ月ほどを倉庫で熟成させて・・・完成させたモノのようです。 👀
 ・・・ともかくニシンさんて「脂がとーーっても強いお魚」なので、内部までゆっくりと乾燥をさせない事には、腐ってしまうんだとか★ (^▽^;)

●そんな・・・ニシンさんなんですが。

 タンパク質やらビタミンA、また鉄やカリウムなども豊富に含んでおられますし。
 ・・・老化を防ぐ効果のある、DHAやEPAも含まれています♡
 糖質代謝を促す効果のあるビタミンB2や、抗酸化作用のあるビタミンEも含まれていますから、身体の酸化や老化を防いで下さる効果があるとも。

 ・・・ちなみに、ニシンさんの卵は「数の子」として食品ルートに乗りますが、「白子や内臓なんかは、畑の肥料になる」のだとか★ ( ̄_ ̄ i)
 そして今や数の子さんは、「黄色いダイヤ」とも呼ばれるようになり、身欠きニシンさんと共にすーっかり「高級品の地位に置かれて☆」いますが・・・ニシンさんって。
 日本人の歴史的な面から見ても、「儲けたお金で、漁師の網元が鰊御殿を建てられたくらいに☆」・・・日本人とは、なじみが深~いお方なんですよね。 (・・。)ゞ
 その歴史と共に、今一度手に手を取って、愛していきたいお方です♡

●さて、もう一つの旬食材、セリの方に参りましょう。

 セリって、春の七草にも数えられてはいますが、数少ない・・・日本原産の蔬菜なんだそうです。
 なので古くは、日本最古の歌集である・・・万葉集にも詠まれているお方でもあるんですが、その名の由来はといえば(!)
 一箇所に競りあって生えているから(!)・・・なのだとか。 (^_^;)

 野生のモノだと、日当たりの良い水辺や湿地で自生するんだそうですが・・・今ではセリさん★
 スーパーでも、栽培品野生品が入り混じって売られているそうなんですが、やっぱり!
 芹田(せりた・・・つまり、栽培モノ★)の方が、アクが少なくて美味しいのだとか。 👀

●ちなみに、お江戸の本草書(日本食材を紹介する書物★)の「本朝食鑑(1697)」では。

 セリは、「水セリ」と「早セリ」とに分けられてあり。
 赤セリは不味いとか、白セリの方が柔らかくて、しかも香気があって美味しい・・・と記されているそう☆

 ただ「セリは、水辺に生える植物」なので、どうしても・・・虫卵なんか付けられて汚染されてしまうのだそうで、生食はせぬ事!と、但し書きがされているそうです★

●さてセリの栽培というのは、湿地などに畔作りをして、根っこを植えて育てるモノだそうです。👀

 「湧水でも、この栽培方法で育つ」とあり、こんな話が残っているそう。
 何でも、時の関白・豊臣秀吉が、京を守るために周囲をぐるりと、「お土居(城でいう処の城郭で、土を積み上げて作る)」に取り掛かっていると、おや、水の湧き出る場所があるではないですか。

 そこで思い付いて、セリを植えてみた処が、思った以上にこれまた、良く育ったので(!)
 手をかけて育ててみた処、京都で暮らす庶民の冬の食卓をにぎわして下さるようになり、これまた貴重なビタミン源としても活躍をされたのだとか☆ (^-^)

 ・・・今でも京都に、この芹田が残っているんだそうですが、当時の京都の土地柄というのは、とにかく(!)
「人が住むには、水がよくない!」
 土地柄であったのだそうで、それを秀吉、全部をひっくり返して地ならしをして・・・今の京都の礎を作ったというから、驚きます★

●ちなみにセリさん。

 食用はもちろん、神饌(神さまへの、お供え物☆)にも使われていましたし、薬用としても活躍をされていました!
 滋養強壮解熱消化剤にと、はたまた婦人病薬としても使われていたのだとか♡

 そんな・・・芹さんなんですが、お江戸の頃の料理書には、「芹焼き(!)」なるレシピがありました。 👀
 何でも焼石の上で、芹を蒸し焼きにしていたモノのよう。(室町の末期頃の調理法★)
 それが「焼き石を使っての、石焼き」から「鍋焼き」へと変っていき。
 ・・・結局は、「湯がいての、野菜の浸し物レシピ」へと変わっていったんだそうですが、その名前だけは、頑固にも「芹焼き(!)」を曲げていなんですねぇ・・・まぁ、びっくり★ 😅💦

 日本全国、どこの山野にも自生し、栽培もし易かったセリさんは、古くから日本では、水田の周りなどに植えては、楽しまれていたようです♡ (^_^)/

●そんな・・・セリさんなんですが。

 やっぱり栽培種よりも、野生の方が栄養効果は高い(!)
 11月頃から新葉が伸びて、翌年の夏に花を咲かせていますが、あのセリの香りは、ミリスチンとカンフェンといった精油成分です。
 ・・・その香りだけで、胃は丈夫にして下さいますし、発汗や解熱、解毒にまでも効果があるんだとか♡

 またセリは、カロテンを多く含んでいますから、粘膜を丈夫にして下さいます。
 という事は、免疫力アップにも繋がりますし、また含まれている葉酸鉄分は、貧血予防や美肌にも効果あり(!
 ・・・セリさんには、血圧を下げて下さるカリウムや、ビタミンCやカルシウムも含まれているんですが、野生種に比べて栽培種は、このビタミンCやら香り成分が弱いんだそうですよ。 👀

 ただ、野生種はアクが強い(!)ので、アク抜きのためにはまず、塩茹でをしてから水にさらします!
 ・・・ちなみに栽培種なら、塩茹でのみにてOK!
 ただ野生種は良いんですが、よく似た「毒芹なる毒草!」もあるそうなので、そこの処だけは要注意!
 こちらは、セリ独特の香りがなくて、地下茎はタケノコ状の節(写真・上)があるそうなので、気をつけましょう。 ( ̄_ ̄ i)

 春の息吹を伝えるセリに、日本人を長らく楽しませてきた身欠きニシン。
 楽しみつつ、感謝しつつ、健康にも役立てたいものです。 (^_^)/
 (2018.2.28 文責・山野亜紀)


 〇2018年2月のお膳

〇すはま

◎2月のお膳(2018年)

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