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☆「キノコに秋味、日本人」~神無月の旬(2013年10月)

●今回のメイン食材は、「キノコと秋味(鮭)」です。

 「鮭」は三代家光の頃には、「奥州の衣川、又越後の国、是れ鮭の名所なり。其ほしたるを楚割(すはやり)、塩引、干鮭など云ふ名あり」
 という記述が「包丁書録」にあり、名産はその他、水戸、庄内、越前、若狭、松前とか。

 北海道の松前を本拠地とした蝦夷地の外様小藩「松前藩」でも、「松前船(松前藩に税を納め、その地の産物を運んだ貿易船)」で鮭は、行き来をした事でしょう。👀

●またこの藩は、米を生産出来ないお土地柄ですから、石高はありません。

 その代わりに、塩干魚や魚肥(他に砂金や木材)などを江戸や大坂に運びましたし。
 この地方では、塩干魚を作るのには大量の塩が必要だったので、帰りは播州の赤穂や大塩から「塩」を運んで財をなしたのだとか。 (*^▽^*)

 「鮭(サケ)」と呼ばれる由来ですが、身が裂けやすいので「裂ける」からとか。
 アイヌ語で、夏の食べ物を意味する「サクイベ」「シャケンベ」という言葉がに元になったとか、諸説あります。👀

 鮭は川から海へ出て成魚になって、また生まれ故郷に帰ってくる(母川回帰)のは有名ですよね。
 もともとは白身魚だったのに、エサでオキアミはともかくも、海老や蟹を食べてる内に(贅沢な!)その身を赤く染めていく魚なんだそうです。 (^▽^;)
 この「赤だいだい色の色素」は「アスタキサンチン」といって活性酸素を除去する事も有名です。

●天然の生の鮭にはまた、「アニサキス」という菌が多く見つかるとか。

 なので生食をする事は殆どなかったそうですが、マイナス20度以下で24時間冷凍すると死滅する事から(!)
 アイヌでは「ルイベ(冷凍保存したまま味わう)」として古くから食べていた他、現在では養殖専門の鮭が多く流通。
 ・・・こちらは「アニサキス」が付かぬように育てるので、生食する事も、ぐっと増えたのだそうです。👀

 鮭の卵巣を一つずつほぐして塩漬けしたのが「イクラ」で、ほぐす前の状態で塩漬けしたのが「筋子」です。
 ・・・ちなみに、「イクラ」はロシア語から来ていて、「魚の卵」とか「小さく粒々のモノ」という意味なのだそうです。 (^_^)/

●さて、今度は「キノコ」に参りましょう♡

 ・・・とはいえ、とにかくたくさんの種類があるので、今回はレシピに使われているキノコを中心にお話をしてみます。

 対象になったのは、椎茸・ブナしめじ・エリンギ・マッシュルーム・舞茸・エノキダケ・ナメコの辺りです。
 落葉広葉樹に生えるそうで、その樹木はブナや椎、クヌギ、柳やミズナラ・・・などなど。
 「秋の茸狩り」は日本人にとっての行楽の一つで、江戸の頃よりも身分・年齢を問わず、枯れ木や木の切り株に生える茸を巡って、さまざまなドラマがあったことでしょう。

●気をつけないと「茸の毒」にやられて、酷い時には死に至る時もあります。

 ・・・ですが「フグの毒」と同じで、「食べて指先がしびれないようでは、茸を食べた甲斐がない」などいう不逞な輩もいたようです。 💦

 平安末期の「今昔物語」にある笑茸(わらいたけ)や、室町まで下ればの中毒死の記述もありながら、それでも果敢にも挑戦した日本人たちです♡
 ・・・特に椎茸は、毒キノコのツキヨタケに似ていた事から、普及も他の茸に比べて遅かったのだとか。 👀

●栽培や加工の方は・・・江戸の初期頃に、伊豆の天城山周辺から始まったようです。

 なにしろ、照葉樹林体で生活する当時の日本人なら、焼き畑農業の時代から「椎の木が枯死すれば、茸が生えてくる」のを知っていました。 (^_-)-☆
 天城山一帯では、秋に伐採した樹木に鉈で刻みをつけて栽培する技術が発達しましたし、重要な乾物(つまり、干しシイタケ)は、清国への貿易品としても活用されました♡

 さて、エリンギやマッシュルームといったキノコは、もちろん日本古来のモノではありません。
 マッシュルームを直訳すると「キノコ」という意味ですし、エリンギはイタリアや南フランスに生息する茸です。
 またエリンギは、「エリンギウムというセリ科の植物」が枯死した処に生えるのだそう。
 ・・・色々他のキノコとも栄養価など、見比べてみますと。👀
 血液中のコレステロール抑制する「飽和脂肪酸」や。
 悪玉を減らして、善玉コレステロールを増やす「不飽和脂肪酸」が、上記の殆どのキノコに含まれるのに対し、舞茸やナメコ、 ついでに松茸には、こちらは含まれていなかったりします(!)

●逆に椎茸には、胃腸の動きを活発にする不溶性食物繊維が多く含まれています。

 これはダイオキシンや水銀などなど。
 人体に有害な物質を排出する効能があり、含まれるレンチオニンとグアニル酸には、血液サラサラ効果もあります(!)
 ・・・血液サラサラ効果は、干し椎茸により多く含まれているとかで、ぜひとも活用したいモノです♡

 また舞茸には、特有性分である「マイタケDフラクション」が含まれていて、こちらはナチュラルキラー細胞を活性化させて下さったり、免疫力UPの効果もあって、抗ガン作用までもあるという優れモノなんです。 (*^^*)

 さて、エノキタケは昨今「ダイエット効果」があると、大流行りしていますよね。
 そう、「βーグルカン」を含むキノコキトサンです。
 キノコキトサンは多糖類で、キノコに含まれる食物繊維の一つ。
 解毒や排毒、免疫力向上、細胞の活性化、抗菌抗カビ、整腸、癌細胞抑制、血管細胞活性化、高血圧防止など。
 ・・・ここまで来ると、スーパーヒ―ローですね。 (^_^;)

 また「エノキ氷(ミキサーにかけ、一度加熱してから冷凍します)」が有名ですが、市販品もあるらしいです。

 ・・・と、ここまで来ましたが。
 エノキとナメコ、舞茸は生食しないそうなので、ご注意を。
 現在の茸類は、殆どが養殖品で「無菌で育てているようなモノ」なので、土に触れて育ったモノ以外は「流水で洗わない方が清潔」なのだとは、調理担当の先生の談。
 今年も、秋を満喫致しましょう♡ (^_^)/
(文責・山野亜紀 2013.10.1)


 〇2013年10月のお膳

◎10月のお膳(2013年)

〇かぼちゃのチーズ入り茶巾

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